美輪湖の家大津

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当法人で発生した障がい者虐待事案について

2025.09.30

お知らせ

当法人で発生した障がい者虐待事案について

1 はじめに

 令和5年度、社会福祉法人美輪湖の家大津において、職員による利用者様への不同意性交等という重大な犯罪行為が発覚しました。責任者が事実を把握したのは、警察からの連絡によるものであり、加害行為は複数回にわたり、すべて就業時間中に施設内で行われていたことが判明しています。当該職員は、逮捕、起訴され、有罪判決を受け、現在は収監されています。当法人としても、当該職員を懲戒解雇といたしました。
 利用者様に対する暴力及び虐待という重大な犯罪を許してしまったこと、さらにその事実が捜査機関からの連絡によって初めて明らかになったことは、社会からの信頼を著しく損なうものであり、決してあってはならない行為であると深く認識しております。今回の件により被害を受けられた利用者様ご本人、ご家族の皆様をはじめ、当法人をご利用いただいているすべての方々、関係者の皆様に対し、心より深くお詫び申し上げます。
 社会福祉法人美輪湖の家大津は、「より弱い立場の人を大切にする」という理念を掲げておりますが、今回、障がい当事者の権利を守る事が出来ませんでした。この事実を私たちは極めて重く受け止めています。
 障がいのある方に寄り添い、尊厳を守ることを大切にし、誰もが共に学び合える場を目指してきたにもかかわらず、その土壌である施設内において暴力及び虐待という重大な犯罪が行われたことに、法人として重大な責任を感じています。今回の件を、加害職員個人の問題として終わらせるのではなく、法人理事をはじめ職員全体が自らの問題として認識し、理事の責任のもと、全職員が再発防止に向けて真摯に取り組む義務があると考えております。

2 検証委員会による調査と報告

 当法人は、虐待の事実把握・発生原因の分析を行い、再発防止に向けての提言と報告をいただくため、第三者による事業所内虐待事例検証委員会(以下、検証委員会)を設置し、約9カ月を費やし検証を実施しました。
 検証委員会からは、法人理念が形骸化していることや運営体制の脆弱性(管理体制の不備、管理者・サービス管理責任者が育成できていない)、支援力の弱さ等をご指摘いただきました。法人としてもこの事態を重く受け止める必要があると理事会でも議論し、現在改善に向けて法人職員一丸となり努力しています。 
 今回の事案は、健全な対話と相互尊重が十分に機能していなかった組織風土が大きな要因だと分析しています。法人の責任として組織を正常な状態に戻していくと同時に、ひとりひとりの職員の支援の質を向上させることが虐待防止につながると信じています。
 また、共通目的を持たなくなれば組織は衰退します。当法人のミッション(使命)は、すべての生命を大切にすることです。ビジョン(将来像)は、障がい者のみならず職員を含む法人に関わるすべての方が笑って暮らせる社会を目指すことにあります。バリュー(価値観・行動指針)としては、より弱い立場の人を大切にすることにあります。皆様の信頼を回復できるよう努めてまいります。

3 具体的な虐待防止とその対応策について

 検証委員会からの指摘及び法人内での検討を踏まえ、虐待防止に向けて以下の対応をとることといたしました。

  • 人権尊重を最優先とし、利用者様が自ら意思決定ができる環境づくり(意思決定支援)に全職員が重点的に取り組みます。
  • 職員の日常の言動の中に、慣れ合いや慢心がないか、それぞれが自覚するとともに、不適切な言動に対して注視するように努めます。
  • 原則として同性介助となることを前提に、職員が長時間単独で支援に入ることがないよう職員配置を改善します。
  • 死角になる場所をできるだけなくすよう、見守りカメラの設置を行います。
  • 利用者様のプライバシーを守る観点から、利用者様と接触する機会のある支援中の私用携帯の使用を禁止します。
  • 法人理念の浸透ならびに支援スキルおよび人権意識の向上を図るため、今後とも繰り返し職員研修を実施します。
  • 職員行動指針を作成し、健全な職場風土を醸成します。

 当法人において虐待事案が発生したことは痛恨の極みです。この度、その責任を踏まえて理事長の交代を行い、新しい体制で上記の再発防止策を進めてまいります。

 関係各位におかれましては、引き続き当法人へのご支援をよろしくお願い申し上げます。

2025年9月30日
社会福祉法人美輪湖の家大津